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2017.11【特集記事】

チャレンジ! 技術士試験!! 〜試験改正前を狙え!〜


第3章 技術士試験合格の秘訣
     ――あなたは何故合格できないのか!――

田淵 一光  
新技術開発センター技術士対策講座幹事講師  
建設部門、総合技術監理部門、コンクリート診断士
  
 
      あなたの合格できない理由は下記の3項目です。
      これをクリアできると合格します。
   1.技術士試験の背景と目的が正しく理解できていない。
   2.情報収集が下手。情報投資が下手。
   3.毎日の合格のためのトレーニングができていない。

1 新制度の要点

(1)国際的に通用する資格に舵を切る
30年度技術士第2次試験は新制度施行の6回目です。文科省は6年前より、技術士が国際的に通用する資格となるように舵を切ったのです。この方針に基づき、技術士二次試験の作問や審査が実施されます。下記の文科省の技術士分科会の配布資料(「今後の技術士制度のあり方について(中間報告)」)に注目ください。

その基本となったのが、図1.1に示す国際エンジニアリング連合(IEA(Intemational Engineering Alliance))の提唱する技術者の資質能力(コンピシテンシー)です。(参考)
図
図1.1 IEAが求める技術者の資質能力(コンピテンシー)

特に、大枠内に示した項目は、従来の技術士規定にない事項です。日本の技術士はこれが欠如しているため、国際的に通用しないのです。IEAの資質能力を踏まえて図1.2のように技術士の資質能力を明確にしています。今後の試験は、図1.2の視点で実施されます

図
  • 複数に関連する広い専門領域と知識をもって、産業界の要請に応えることができる
  • リスクマネジメント、リーダーシップ、コミュニケーション、評価能力などがある
  • 技術者倫理の励行:公衆の安全、健康及び福祉を最優先に考慮した上で、社会、文化、環境に対する影響を予見し、地球環境の保全等、次世代に渡る社会の持続性の確保に努める
図1.2 技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)

7つの資質項目の内容は、前述の文科省の技術士分科会第33回配布資料で確認ください。

(2)技術士二次試験の内容
技術士第二次試験「受験申込み案内」にも明記してありました。

表1 技術士二次試験の内容
試験科目 問題の種類 概念 内容
必須科目
I
「技術部門」全般にわたる専門知識


○「技術部門」において不可欠な技術、業務遂行に際して必要な社会制度等に関する専門的な知識 ・「技術部門」における不可欠な技術、社会的に重要なキーワード、業務における関連法規
・制度等に対する専門的知識を問う。
選択科目
II
「選択科目」に関する専門知識及び応用能力


○「選択科目」で対象とする技術分野全般にわたる専門的な知識 ・「選択科目」における重要キーワードや新技術等に対する専門的知識を問う。



○これまでに習得した専門的知識や経験等に基づいて、与えられた条件に合わせて正しく問題点を認識し、必要な分析を行い、適切な業務プロセスや留意すべき内容を説明できる能力 ・「選択科目」に関係する業務に関し、与えられた条件に合わせて、専門的知識や実務経験に基づいて業務遂行手順が説明でき、業務上で留意すべき点や工夫を要する点等についての認識があるかを問う内容とする。
選択科目
III
「選択科目」に関する課題解決能力




○社会的なニーズや技術の進歩に伴い、最近注目されている変化や新たに直面する可能性のある課題に対する認識を持っており、多様な視点から検討を行い、論理的かつ合理的に解決策を策定できる能力 ・「選択科目」に係わる社会的な変化・技術に関係する最新の状況や「選択科目」に共通する普遍的な問題を対象とし、これに対する課題等の抽出を行わせ、多様な視点からの分析によって実現可能な解決策の提示が行えるか等を問う内容とする。
★IIIに「――多様な視点から分析によって実行可能な解決策の提示が行えるか等を問う内容とする。」があります。この中の 「等」にコンピテンシー能力を問う問題があります

等: マネジメント能力(特にリスク管理)、評価能力、コミュニケーション能力、リーダーシップ能力

表1から次のことが明確に分かります。この内容を知ることで効率のよい学習ができます。

応用能力と課題解決能力の審査のポイント
II 応用能力: 選択科目に関する与えられた条件に対し専門知識や実務経験に基づき
  (1) 業務遂行手順が説明できる
  (2) 業務上の留意点や工夫を要する点について認識がある

課題解決能力: 選択科目に係る社会的な変化・技術に関する最新の状況や選択科目に共通する普遍的な問題に対し、
III   (1) 課題が抽出できる
  (2) 多様な観点からの分析により実現可能な解決策の提示ができる
  (3) コンピテンシー能力が確認できる
(3) のコンピテンシー能力:技術士二次試験の内容にはありません。
国際的に通用する能力審査として選択科目Vに出題されるため筆者が加筆しました。
リスク管理が主体でしたが、一昨年よりリーダーシップ能力、コミュニケーション能力、評価能力を試す設問など設問が多様化しています。

このことを理解して毎日トレーニングに励んでください。合格が待っています。

技術士情報は、当社HPや技術士ホットニュースの他、日本技術士会HP、文部科学省技術士分科会HP、JABEEのHP等から収集して下さい。

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