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2026.10【特集記事】

最後の最大の壁! 口頭試験突破!

第1章 技術士第二次口頭試験−試験概要と対策−

 

1−1.技術士第二次試験口頭試験の概要

技術士資格は、第二次試験の筆記試験合格後、その年度の口頭試験を受験し、合格することによって、その資格を得ることができます。口頭試験は、難関である筆記試験を合格したレベルの高い受験者を対象に、試験官が口頭面接により受験者の適格性を直接判定する、最後の関門です。

口頭試験の合格率は約90%ですが、筆記試験(合格率:約10%)を勝ち抜いてきた受験者を対象に、10人に1人が不合格になるのです。試験でのプレッシャーも、筆記試験の比ではありません。入念な受験準備・対策を行わなければ、確実に不合格になってしまいます。

口頭試験で不合格になると、また翌年は第二次試験の筆記試験から受験することになります。今年、筆記試験に合格できたからといって、翌年も合格できる保証は全くありません。筆記試験合格者は、口頭試験を確実に合格できるよう、十分な受験対策を行って試験に臨む必要があります。

以下、「技術士第二次試験実施大綱」と「技術士試験合否決定基準」から、口頭試験の概要と合格基準についてお伝えします。

(1)「技術士第二次試験実施大綱」より

◎技術士第二次試験の試験方法−口頭試験

  1. 口頭試験は、筆記試験の合格者に対してのみ行う。
  2. 口頭試験は、技術士としての適格性を判定することに主眼をおき、筆記試験における記述式問題の答案及び業務経歴を踏まえ実施するものとし、筆記試験の繰り返しにならないよう留意する。
  3. 試問事項及び試問時間は、次のとおりとする。なお、試問時間を10分程度延長することを可能とするなど受験者の能力を十分確認できるよう留意する。
    (総合技術監理部門を除く技術部門)
    表
    (総合技術監理部門)
    表
    ※選択科目に関する口頭試験は、総合技術監理部門以外の技術部門の口頭試験にて別途行うこととする。また、選択科目が免除される者は必須科目のみの試問とする。

◎配点−口頭試験
 (総合技術監理部門を除く技術部門)
 試問事項別の配点は次のとおりとする。

  1. 技術士としての実務能力
    1. コミュニケーション、リーダーシップ  30点満点
    2. 評価、マネジメント          30点満点
  2. 技術士としての取組姿勢
    1. 技術者倫理              20点満点
    2. 継続研さん              20点満点
 (総合技術監理部門)
 試問事項別の配点は次のとおりとする。
  1. (必須科目に対応)
    1. 総合技術監理部門の必須科目に関する技術士として必要な専門知識及び応用能力
      1. 経歴及び応用能力        60点満点
      2. 体系的専門知識         40点満点
    2. (選択科目に対応)
      1. 技術士としての実務能力
        1. マネジメント、評価         30点満点
        2. コミュニケーション、リーダーシップ 30点満点
  2. 技術士としての取組姿勢
    1. 技術者倫理              20点満点
    2. 継続研さん              20点満点

(2)「技術士試験合否決定基準」より

◎口頭試験
表

1−2.令和8年度口頭試験の留意事項

(1)「技術士第二次試験実施大綱」の変更について

前述の「技術士第二次試験実施大綱」は、令和8年度について、従来のものから以下のように変更されています。
(従来)
(変更後)
(従来)

(変更後)

II 技術士としての適格性
II 技術士としての取組姿勢
1.コミュニケーション、リーダーシップ
2.評価、マネジメント
1.マネジメント、評価
2.コミュニケーション、リーダーシップ


30点満点
30点満点
30点満点
30点満点

「適格性」から「取組姿勢」に変更した理由は、日本技術士会のホームページの「第二次試験 よくある質問」で、次のように説明されています。

【「口頭試験は、技術士としての適格性を判定することに主眼をおき、筆記試験における記述式問題の答案及び業務経歴を踏まえ実施する。」とされています。このため、試問事項の「技術士としての適格性」が重視され評価されると誤解を招くことがないよう表記を変更しました。なお、試験内容については変更ありません。】

「1.マネジメント、評価」「2.コミュニケーション、リーダーシップ」の順にした理由も、同じく「第二次試験 よくある質問」で、次のように説明されています。

【「技術士としての実務能力」に関しては、受験者があらかじめ提出している業務経歴を踏まえ実施されており、受験者への質問の流れとしてのスムーズさ、それに伴う受験者の答えやすさを勘案し、「コミュニケーション、リーダーシップ」と「評価、マネジメント」の順番を入れ替えることとなりました。なお、試験内容については変更ありません。】

上記に記されているように、このことで令和8年度の口頭試験の内容が大きく変わることはないと考えられますが、試験の順番として、最初に「マネジメント、評価」について試問があり、続いて「コミュニケーション、リーダーシップ」に移って試問されるパターンが多くなると思われます。

(2)改訂版コンピテンシーの適用について

「1−1.技術士第二次試験口頭試験の概要」で記したように、口頭試験の試問事項は、「技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)」の「マネジメント」、「評価」、「コミュニケーション」、「リーダーシップ」、「技術者倫理」、「継続研さん」の各事項について行われます。

このコンピテンシーは、令和5年1月に改訂されましたが、令和8年度の技術士第二次試験からは、改訂後のコンピテンシーに基づいて実施します。

「令和8年度技術士第二次試験受験申込み案内」には、「筆記試験及び口頭試験の試験内容についての変更はありません。」と記載されていますが、改訂されたコンピテンシーの内容に基づき、試験官によっては質問の仕方が若干、従来と変わってくる可能性があります。また、質問に対する回答も、改訂された内容に留意して答える必要があります。

以下、「技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)」を掲載します。口頭試験の試問事項に挙げられていない「専門的学識」「問題解決」も含みます(口頭試験の試問事項に該当するコンピテンシーのみピックアップしています)。アンダーライン部は、改訂された箇所を示します)。

 マネジメント 

  • 業務の計画・実行・検証・是正(変更)等の過程において、品質、コスト、納期及び生産性とリスク対応に関する要求事項、又は成果物(製品、システム、施設、プロジェクト、サービス等)に係る要求事項の特性(必要性、機能性、技術的実現性、安全性、経済性等)を満たすことを目的として、人員・設備・金銭・情報等の資源を配分すること。
 評価 
  • 業務遂行上の各段階における結果、最終的に得られる成果やその波及効果を評価し、次段階や別の業務の改善に資すること。
 コミュニケーション 
  • 業務履行上、情報技術を活用し、口頭や文書等の方法を通じて、雇用者、上司や同僚、クライアントやユーザー等多様な関係者との間で、明確かつ包摂的な意思疎通を図り、協働すること。
  • 海外における業務に携わる際は、一定の語学力による業務上必要な意思疎通に加え、現地の社会的文化的多様性を理解し関係者との間で可能な限り協調すること。
 リーダーシップ 
  • 業務遂行にあたり、明確なデザインと現場感覚を持ち、多様な関係者の利害等を調整し取りまとめることに努めること。
  • 海外における業務に携わる際は、多様な価値観や能力を有する現地関係者とともに、プロジェクト等の事業や業務の遂行に努めること。
 技術者倫理 
  • 業務遂行にあたり、公衆の安全、健康及び福利を最優先に考慮した上で、社会、経済及び環境に対する影響を予見し、地球環境の保全等、次世代にわたる社会の持続可能な成果の達成を目指し、技術士としての使命、社会的地位及び職責を自覚し、倫理的に行動すること。
  • 業務履行上、関係法令等の制度が求めている事項を遵守し、文化的価値を尊重すること。
  • 業務履行上行う決定に際して、自らの業務及び責任の範囲を明確にし、これらの責任を負うこと。
 継続研さん 
  • CPD活動を行い、コンピテンシーを維持・向上させ、新しい技術とともに絶えず変化し続ける仕事の性質に適応する能力を高めること。

1−3.口頭試験の試問内容と受験対策

(1)口頭試験の試問例(総合技術監理部門以外の20部門)

以下に、今までの口頭試験で試問された内容を、コンピテンシーごとにまとめていくつか記載します。口頭試験までには、これらの質問にさっと答えられるよう準備する必要があります。

[マネジメント]
  • 過去の業務で、人員や設備、金銭等の経営資源を配分した事例を、2分以内で説明してください。
  • 発注者などからの要求に対して、経済性の面で資源配分を工夫したことはありますか。
  • 若いですが、業務を遂行するにあたってはあなたが様々な調整を行い主体的に実施しているのですか。
  • マネジメントについて、自身の業務の中で具体例を挙げて説明してください。
  • 工程遅延の場合のリカバリー方法を説明してください。
[評価]
  • 業務を評価し、発展につながった事例があれば具体的に説明してください。
  • 「業務内容の詳細」の評価は、他の業務に応用できることはありますか。
  • 今まで業務について、どのような評価を行っていますか。
  • この業務で、いろいろな経験をされたと思いますが、うまくいった例、失敗した例などは、どのように次へ繋げていますか。
  • 過去の業務で得た成果を、他の業務に発展させた事例を、2分程度で説明してください。
[コミュニケーション]
  • コミュニケーションを発揮した事例を説明してください。
  • コミュニケーションを誰と、どのように取ったのですか。
  • 海外の顧客とのコミュニケーションの取り方、難しさを教えてください。
  • コミュニケーションで苦労した点、工夫した点について教えてください。
  • 顧客とどのようなコミュニケーションを取っていますか。
[リーダーシップ]
  • リーダーシップを発揮した具体的な事例を説明してください。
  • 多様な利害を調整した事例や経験を説明してください。
  • リーダーシップ上で苦労した点は何ですか。
  • 「業務内容の詳細」で、社内、社外の合意形成をどのように行ったか説明してください。
  • コストの関連で利害関係を調整したことはありますか。
[技術者倫理]
  • 日頃より重視している技術者倫理を具体的に説明してください。
  • 上司から公共の福祉に反することを指示されたらどうしますか。
  • 利益や公益に反する事例があれば、どのように対処したか教えてください。
  • 顧客からコスト低減を求められたらどうしますか。
  • 技術者倫理の観点から、多様な利害の調整をしたことがありますか。
[継続研さん]
  • 日頃、どのようなことが自分にとって重要と考え、自己研さんしていますか。
  • 継続研さんに対するあなたの考え方を教えてください。
  • 現在のCPDの内容を具体的に説明してください。
  • 成果を発表した事例はありますか。社内でも社外でもどちらでも構いません。
  • 技術士となった後はどのような研さんをしようと考えていますか。

(2)口頭試験の試問例(総合技術監理部門)

総合技術監理部門の口頭試験は、他の20部門とは違った内容が試問されます。
以下に、総合技術監理部門の口頭試験で試問された内容を、紹介いたします。

[経歴及び応用能力]
  • 今までの経歴を、総合技術監理の視点で、5分間で説明してください。
  • 部下の指導や育成、モチベーションの向上などで気をつけていること、工夫していることは何ですか。
  • 体験したリスク管理の内容について説明してください。
  • 業務の中で発生したトレードオフについて説明してください。
[体系的専門知識]
  • 働き方改革がありますが、その中で「変形労働時間制」について、その内容・メリット・デメリットを説明してください。
  • ビッグデータの取り扱い、機械学習、データマイニングについて説明してください。
  • 規制的手法の内容とメリットについて説明してください。
  • 戦略的環境アセスメントについて説明してください。

(3)口頭試験の受験対策

令和8年度の技術士第二次試験筆記試験の合格発表日は、11月4日(水)の予定です。口頭試験の実施は、令和8年12月上旬から令和9年1月中旬の間に、「あらかじめ受験者に通知する日」に実施されます。筆記試験合格発表から口頭試験まで、早い方は1か月程度の準備期間しかありません。筆記試験で手ごたえを感じたら、すぐに口頭試験対策の準備を行う必要があります。

以下、口頭試験対策で重要なポイントを挙げます。

  1. 筆記試験の答案を復元し、内容を見直す
    近年口頭試験では、筆記試験の答案に関する質問は少ないですが、念のため復元答案を準備し、不十分な点などを見直しておいてください。
  2. 受験申込書の内容を確認する
    口頭試験で中心となるのは、受験申込書の「実務経験証明書」の内容です。各コンピテンシーの面から、どのような質問をされても答えられるよう、準備しておいてください。
  3. 過去の口頭試験の内容をチェックする
    令和元年度以降の口頭試験の内容を参考書等でチェックし、対策を立ててください。
  4. Q&Aを作成する
    ご自身の業務経歴や筆記試験の答案内容から、過去の口頭試験の例を参考にして、なるべく多くの想定質問と、その回答を考えてください。
  5. 口頭試験の模擬試験を行う
    試験官役は、ふさわしい方がいない場合は、会社の上司や同僚あるいは家族や友人の方に、上記のQ&Aを元にお願いするのも、1つの方法ですが、同じ部門の技術士の方にお願いするのがベストです。


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