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2024.04【特集記事】

技術士第一次試験・コンクリート診断士・RCCM

第1章 2024年度技術士第一次試験の内容は?
     〜現在の技術士第一次試験の概要と攻略ポイント〜


 

1−1.技術士制度のあらまし

技術士は、およそ半世紀前に、米国のコンサルティングエンジニアおよびプロフェッショナルエンジニアの制度を倣って、コンサルティングエンジニアの制度を定着させるために生まれたものです。
当初民間資格としてスタートし、技術士法の制定をめざした積極的な活動が行われ、紆余曲折を経て1957年、国会の審議を通過し、科学技術庁を所管とする技術士制度が発足したわけです。

図

1958年7月、第1回目の技術士試験が行われ、同年11月、技術士法に基づく(社)日本技術士会が発足しました。
1983年には技術士補制度が発足し、技術士となるのに必要な技能を修習するため、技術士補として技術士業務を補助することになりました。
1998年に、APECエンジニアの枠組み作りがスタートし、2000年にAPECエンジニア登録が開始されました。この動きに伴い、2000年4月、技術士法が改正され、技術士第二次試験は技術士第一次試験の合格者(及びそれと同等と認められる者)のみが受験できるようになりました。技術士第一次試験は技術士第二次試験のパスポートというわけです。そして、2007年、2013年と試験内容の改正が行われ、さらに2019年度から、また新たに技術士第二次試験の内容が変わりました。
技術士第一次試験は、専門科目を5グループに共通化(大くくり化)する案が進められていますが、実施時期は未定です。

1−2.技術士第一次試験の概要

「令和6年度技術士第一次試験実施大綱」では、以下のように定められました。

1)技術士第一次試験の実施について

  1. 技術士第一次試験は、機械部門から原子力・放射線部門まで20の技術部門ごとに実施し、技術士となるのに必要な科学技術全般にわたる基礎的学識及び技術士法第4章の規定の遵守に関する適性並びに技術士補となるのに必要な技術部門についての専門的学識を有するか否かを判定し得るよう実施する。
  2. 試験は、基礎科目、適性科目及び専門科目の3科目について行う。
    出題に当たって、基礎科目については科学技術全般にわたる基礎知識(設計・計画に関するもの、情報・論理に関するもの、解析に関するもの、材料・化学・バイオに関するもの、環境・エネルギー・技術に関するもの)について、適性科目については技術士法第四章(技術士等の義務)の規定の遵守に関する適性について、専門科目については技術士補として必要な当該技術部門に係る基礎知識及び専門知識について問うよう配慮する。
    基礎科目及び専門科目の試験の程度は、4年制大学の自然科学系学部の専門教育課程修了程度とする。
  3. 基礎科目、適性科目及び専門科目を通して、問題作成、採点、合否判定等に関する基本的な方針や考え方を統一するよう配慮する。
    なお、専門科目の問題作成に当たっては、教育課程におけるカリキュラムの推移に配慮するものとする。

2)技術士第一次試験の試験方法

  1. 試験の方法
    1. 試験は筆記により行い、全科目択一式とする。
    2. 試験の問題の種類及び解答時間は、次のとおりとする。
      ((2)の配点、合否基準含む)
      図
    3. 試験問題例(令和5年度 適性科目)
      II−13 「国民の安全・安心の確保」「特続可能な地域社会の形成」「経済成長の実現」の役割を担うインフラの機能を,将来にわたって適切に発揮させる必要があり,メンテナンスサイクルの核となる個別施設計画の充実化やメンテナンス体制の確保など,インフラメンテナンスの取組を着実に推進するために,平成26年に「国土交通省インフラ長寿命化計画(行動計画)」が策定された。令和3年6月に今後の取組の方向性を示す第二期の行動計面が策定されており,この中で「個別施設計画の策定・充実」「点検・診断/修繕・更新等」「基準類等の充実」といった具体的な7つの取組が示されている。
      この7つの取組のうち,残り4つに含まれないものはどれか。
      ① 予算管理
      ② 体制の構築
      ③ 新技術の開発・導入
      ④ 情報基盤の整備と活用
      ⑤ 技術継承の取祖

1−3.2024年度技術士第一次試験の攻略ポイント

技術士第一次試験は、年齢・学歴・国籍・業務経歴等による受験資格の制限はありません。第二次試験を受験するには、指定された教育課程の修了者以外は、技術士第一次試験に合格していることが必要となります。
第一次試験は、基礎科目、適性科目、専門科目の3科目がそれぞれ50%以上の成績を取らないと合格できません。各科目はすべて5肢択一式問題であり、記述式試験である第二次試験に比べると難易度は低く合格率は例年30〜40%前後ですが、出題範囲が大変広く、事前の十分な学習を行わないと試験合格は困難です。
第二次試験の受験に際しては、技術士第一次試験で合格した技術部門に限らず、全ての技術部門の中から選択できますので、第一次試験と第二次試験が同じ部門でなくてもかまいません。
ですので、過去の専門科目の試験問題を見て、最も点数が取れそうな部門を選んで受験することが受験対策上、大変重要です。
さらに、各科目の出題内容・出題傾向をよく把握したうえで、各科目についてご自身が現在どれだけの知識を持っているか、どれくらい正解を得られるかの実力チェックを行ってから、必要な受験対策の方法をご検討するのがよいでしょう。
特に第一次試験は、過年度問題が繰り返し出題される傾向がありますので、過去問題は十分学習しておく必要があります。
専門科目の大くくり化が実施される前の、従来試験が行われている今のうちに、第一次試験にチャレンジし合格を目指してください。

図



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