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2024.01【特集記事】

技術士試験に合格するために
試験の歴史と背景を知ろう!!

第1章 日本技術士会、技術士法、技術士試験の歴史
    ―並行して最大数の技術士を輩出した当社の歩み―


 

1−1.科学者の見識不足、科学技術の遅れの反省

戦後吉田茂首相は、優れた民間の科学技術者の見識があれば、無謀な戦争は起こらなかったとの反省より、
「『戦後日本の復興に、技術者の奮起を強く要望された。なかでも、欧米の技術先進国では永い歴史のあるコンサルティングシステムが、日本にないことが敗戦の大きな原因である。優れた民間の科学技術者の見識があれば、無謀な戦争も起こらなかったであろうし、平和への終結も出来た筈である。今後の技術界の大きな課題は、日本に一日も早く、権威のある民間技術者によるコンサルティング・エンジニア制度の確立である。日本の復興のためにも、世界の平和のためにも、人類の繁栄のためにも、日本の技術者により果たさねばならぬ使命である。』と述べた。
国の存亡を賭した無謀な戦いと無残な敗戦。人的・物質的、さらには精神的にも大打撃を受け、日本人は打ちひしがれていた。そのような特異な状況であるにもかかわらず、冷静に考え、再度同じ誤りをしないよう根本要因を探っていた先験的な立場の方々がいた。この方たちは、日本という国がよって立つ基盤は技術であると見通し、信念にまで昇華していたと推測される。」(日本技術士会創立50周年記念誌より)

昭和21年頃 吉田茂首相が技術者の奮起を強く要望した(秘話)
昭和23年 田中宏氏(経済安定本部生産局技術課長、後技術士会会長)が第一回米国調査団に参加する。プロダクティビティに関する調査
昭和23年〜
昭和25年
第一回米国調査団の報告の反響大きい
コンサルティング・エンジニアの制度への評価が高まる。経済安定本部が行政的に推進する
昭和25年 コンサルティングエンジニア協会設立の方向に機運が高まる
昭和25年12月14日 コンサルティングエンジニア協会設立準備委員会が発足する
経済安定本部が主催する
昭和26年3月1日 日本技術士会設立準備委員会が発足する
昭和26年4月16日 日本技術士会事務局を創設する
昭和26年6月14日 日本技術士会が誕生する 通産省所管
昭和26年6月21日 日本技術士会第一回理事会を開催する 商工会館
昭和26年8月 日本技術士会に英訳名を添える
THE CONSULTING ENGINEERS ASSOSIATION OF JAPAN
昭和26年8月20日 工業技術院が技術士法試案を提示 技術士法の最初の原案
昭和26年10月 日本技術士会会報第1巻第1号発行 表紙の記事より
「新しい日本に民主化が始まっている、産業復興は封建技術の打開にある、優れた技術を凡ての企業に平等に、技術の民主化運動の旗はふられた、技術革新の先駆者その名は技術士」
昭和26年度末現在 日本技術士会会員数
総計260名

1−2.技術士法の制定

(1)科学技術庁提案当初の技術士法案(昭和31年9月)
昭和31年9月技術士法案の骨子となる要綱が定められた。

技術士法案要綱                      科学技術庁  昭和31.9.12

第1

第2

第3
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第7

第8

第9

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第11

第12
第13

技術士の資格を定め、その業務の適正化をはかり、もって科学技術の向上に寄与させることを目的とすること。
技術士の業務内容を決定すること。ただし、その業務を特権業務とはしないで、単に名称の独占に止めるものとすること。
技術士の種類を、その専門分野別に法定すること。
技術士となる資格は、技術士試験に合格した者又は一定の要件を備える場合に科学技術庁長官が認定した者に対してのみ与えるものとする。
技術士試験は、技術士の種類ごとに行うものとする。
技術士制度の審議及び技術士試験の基本方針、試験問題の作成、試験の実施、採点等試験に関する事項を管理するため、科学技術庁に技術士制度運営審議会を設け、その委員及び試験委員は、関係行政機関の職員及び学識経験者をもってあてるものとすること。
技術士となる資格を有する者が技術士になるには、科学技術庁に備える技術士名簿に、技術士の種類その他の必要な事項の登録を受けなければならないものとすること。
技術士の登録を受けた者が一定の事由に該当する場合には、登録を取り消すことができるものとすること。
技術士に対する懲戒制度を設けることとし、この法律に対する違反があった場合には、科学技術庁長官は、懲戒処分を行うものとすること。
技術士に対する広告事項の制限、秘密を守る義務等の諸規定を設けるものとすること。
技術士制度運営審議会の委員及び試験委員の任命にあたっては、関係主務大臣へ協議するものとすること。
一定の法律違反行為に対しては、罰則を規定するものとすること。
本法施行前から技術士の名称を使用している者に対しては、一定期間その名称の使用を許容するものとすること。

そして、昭和32年5月技術士法は制定された。
その後、様々な小改正を経て、昭和58年技術士法の全面改正となった。
改正された要点を列記すると次のとおりである。
  1. 新技術への進取性、探求性に富む優秀な若手人材の参入を促すため、技術士の指導の下でその業務を補助し、将来技術士となるのに必要な技能を修得する新たな途を開くこととし、この途を歩む者に「技術士補」という資格を与えることにした。
  2. 技術士試験を第一次試験、第二次試験に分け、第一次試験の合格者は、登録して技術士補の名称を、第二次試験の合格者は、登録して技術士の名称を与えることにした。(第二次試験は従来の技術士本試験に相当する)
  3. 第二次試験を受験するためには、7年以上の業務経験を必要とするが、技術士補は技術士の下で4年以上の業務経験があれば受験できることにした。
  4. 第一次試験、第二次試験とも受験のための学歴の条件を撤廃した。
  5. 予備試験を廃止した。
  6. 第二次試験は筆記試験と筆記試験の合格者に対する口頭試験とから成るが、第一次試験は筆記試験のみとした。
  7. 4年制の自然科学系学部卒業者及びこれと同程度の教育課程を修めた者または4年制の自然科学系学部卒業程度の知識を必要とする国家資格の保有者(測量士、エネルギー管理士など12種類)は、第一次試験の一部を免除することにした。
  8. 行政事務の簡素化の観点から、技術士試験の実施に関する事務と登録の実施に関する事務を、科学技術庁長官の指定する機関に行わせることにした。((社)日本技術士会は昭和59年2月1日指定機関に指定された)
  9. 登録に事務が簡素化された。
  10. 第一次試験、第二次試験の合格者には、科学技術庁長官の合格証が授与されるが、登録者には指定機関から登録証が交付されることになった。
その後技術士審議会において5年毎に技術士部門等の見直しを行うことを決めたことから、昭和58年1月1日以降、わが国の経済・社会の変化に伴う技術需要の変化、科学技術の発展に伴う技術内容の変化への対応を視点にすえて、技術部門及び選択科目のあり方について、技術士審議会において数次にわたり見直しを行い、平成元年2月1日、平成4年2月1日及び平成6年2月18日付で必要な改善が行われた。
所轄官庁も通産省から科学技術庁、文部科学省に移り、担当課長も続々と交替していった。

昭和43年に創立、技術士対策講座を開講。我国では一番長い歴史と最大の技術士輩出数を誇る講座のはじまりです。現在「第55回(2024年)技術士第二次試験完全合格対策講座」を開催中です。
当社最初の出版物は技術士 柳川達吉先生の「工場長のための工場経営システム」が大ヒット英訳版もつくられました。ひき続き、技術士の先生方の出版物のヒットで会社の基盤が確立されました。新井澄夫著「油圧管理システム」、毛利隆著「設備保全システム」、本田尚士著「化学プラント設計事例集」と続きました。
また、杉田稔先生(機械部門)の通信教育「マイコンを機械に組み込むスクール」が5,000人を越える受講者を集めました。
図 図
◎3年目で技術士合格者の方の数が100名を越えました。

「技術士本試験問題集」昭和50〜57
監修 科学技術庁振興局、社団法人日本技術士会編、発行所 株式会社テクノ、昭和58年2月5日発行となっております。
図 図
当時の問題例

1−3.技術士試験の移り変わり

そんな難しい技術士試験が可能かといわれていた技術士試験は、
第1回の技術士本試験が、昭和33年7月6日(日)に筆記試験、同年同月7日(月)〜9日(水)の3日間口頭試験が東京会場1箇所において行われた。
当時の技術部門は、機械、船舶、航空機、電気、化学、繊維、金属、鉱業、建設、水道、衛生工学、農業、林業、水産、生産管理、応用理学であり、試験は16技術部門、73試験科目に分かれて行われた。
昭和33年度の第1回技術士本試験の受験者数は1,635人、合格者数は991人、登録者数は345人、日本技術士会入会者数は211人であった。
現在、令和4年度受験者数22,489人、合格者数2,632人となっている。(女性合格者234人)当社の合格者数は811人で累計9,000人を越えた。
昭和59年に始まった技術士第一次試験の令和4年度の受験者は17,225人合格者は7,264人であった。
技術士第一次試験が昭和59年にはじまり技術士補は存在の理由を問われながら現在に到っている。また総合技術監理部門も平成12年に発足し、そのポジショニングが不明のまま現在にいたっている。しかし、その5つの管理(1.経済性管理、2.人的資源管理、3.情報管理、4.安全性管理、5.社会環境管理)は経営コンサルティングのベースになるものであり、エンジニア全員が理解しておく必要があると思われる。

図 図
技術士 芦川鯉之介先生(経営工学)のヒット商品です。
定価39,000円(税込)で5,000部以上販売いたしました。
技術士 阪本三郎先生(経営工学)を中心とした講師陣でISO 9000品質マネジメントシステム審査員研修フォーマルコースを開始。
◎平成13年には技術士合格者数累計3,000名を越えました。

1−4.国際化の流れ

平成3年、平成6年の技術部門の改正に続き、急速な国際化の進展に伴い、商品、技術に続き、技術者の国際流動化が高まり、その能力が客観的に評価された有資格技術者の相互承認が国際的関心事となったことである。平成12年11月より公式登録が開始されたAPECエンジニアはその一事例であり、ヨーロッパ経済圏や北米経済圏でも同様な動きがあった。
平成11年には、欧州29カ国の教育大臣が署名したボローニャ宣言がなされ、高等教育の質保証と制度の共通化を目指すことになった。(2007年には46カ国に拡大)
国際的な大学間の統率と協働が進展しディグリー・ミル等の弊害から、学位等の国際通用性の確保が課題とになった。2003年には、ユネスコ/OECDの国境を越えて提供される高等教育の質保証に関するガイドラインが発表された。
アメリカなどでは、IEA(国際技術者連合)に準拠して、技術者をテクニシャン、テクノロジスト、エンジニアと3つの範疇に別け、それぞれの教育内容をGAとして、ダブリン協定、シドニー協定、ワシントン協定として公開、国際的基準とした。また専門的なPCとしてそれぞれIEAが知識プロフィールとして公開している。
今回発表された、初期専門能力開発IPDのコンピテンシー内容は、
IPDWGでは「IPD活動指針(案)Ver.1.0」において、IEA(国際エンジニアリング連合(International Engineering Aliance))のPC、文部科学省・技術士分科会の2023年1月25日付の『技術士に求められる資質能力(技術士コンピテンシー)』、日本技術士会の『修習技術者に求められる資質・能力』(修習技術者のための修習ガイドブック第3版)を包含する能力の要素を「PCの15要素」とした。

IPDWGが提示するPCの15要素
 PCの15要素
 専門技術能力
 1.基礎知識の理解と応用
 2.専門技術知識の理解と応用
 3.地域に固有の知識の理解と応用
 
 業務遂行能力
 4.問題分析
 5.解決策のデザインと立案
 6.評価
 7.エンジニアリング活動のマネジメント
 8.コミュニケーションと協働
 9.リーダーシップ
 10.判断
 
 行動原則
 11.社会の保全
 12.法律、規制、及び文化
 13.倫理
 14.継続研鑽(CPD)と生涯学習
 15.決定への責任

今後、技術士第二次試験に反映され、令和元年度から強調されたコンピテンシー審査が高度化されるものと思われる。

1−5.ステージ化と現状の問題点

文部科学省や日本技術士会は、技術者のキャリア形成過程をステージ制で段階化し、それに技術士第一次試験、第二次試験をリンク付けした。更に文部科学省がIPDプログラムの作成を準備している。

【ステージ1】
技術者を目指す者は、高等教育機関を卒業した時点で、専門の技術分野に関して一定の基礎的学識を有し、技術者としてのキャリアをスタートする。このステージは、IEAの「卒業生として身に付けるべき知識・能力」(GA:Graduate Attributes)を満たす段階であり、日本技術者教育認定機構(JABEE)認定課程の修了又は技術士第一次試験の合格がこれに当たる。
このことから、第一次試験を受験する者は、高等教育機関等の卒業と近い時期に合格した上でこれ以降のステージに進んでいくことが望ましいといえる。

【ステージ2】
ステージ1を経て、技術士(プロフェッショナルエンジニア)となるための初期の能力開発(IPD:Initial Professional Development)を行う期間である。基礎的学識に加え、実務経験、自己研さんを通じて専門職としての資質能力を備えるための段階である。期間としては、4〜7年程度の経験を積んだ上で技術士資格の取得を目指すことが望ましい。

【ステージ3】
専門の技術分野に関して専門的学識及び高等の専門的応用能力を有し、かつ、豊かな創造性を持って複合的な問題を発見して解決できる技術者として、この段階で、技術士第二次試験を受験し、技術士資格を取得することが望ましい。

【ステージ4、ステージ5】
技術士資格の取得後、継続研さん(CPD:Continuing Professional Development)や実務経験を通じて技術士としての資質能力を向上させ、自己の判断で業務を遂行することができる段階である。更に国内のみならず国際的にも通用する技術者となる段階である。

エンジニアのコンピテンシー向上は永久向上であることは当然であるが平成27年から始まった技術士制度改革の課題が遅々として進まないのは文科省のリーダーシップが
懸念されるところである。特に総合技術監理部門の在り方を含む。

課題1:更新制度の導入
課題2:技術士補の在り方
課題3:IPDへの支援方策
課題4:総合技術監理部門の在り方
課題5:技術士資格の国際的通用性
課題6:他の国家資格との相互活用
課題7:産業界での活用促進

さまざまな「テクノビジョン」の特集号とともに、技術士講座の2001年度累計合格数も5,000名に近づきました。
図 図
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また、総合技術監理部門の合格率アップのために、毎年12月公表されるキーワード集2024年版では、人材活用計画の中に昨年のLGBTqについで新しく「ポジティブアクション」が加えられ、2024年度出題の可能性が高い。
当社も2024年度技術士合格者累計数10,000名突破をめざして、ご支援を継続していくつもりである。

1−6.第一次試験合格へのステップ

(スケジュールは2024年度の試験日程にあわせ調整してください)
  画像をクリックするとPDFが開きます   
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1−7.第ニ次試験合格へのステップ

(スケジュールは2024年度の試験日程にあわせ調整してください)
  画像をクリックするとPDFが開きます   
図

1−8.技術士試験合格の3つのポイント

      あなたの合格できない理由は下記の3項目です。
      これをクリアできると合格します。
   1.技術士試験の背景と目的が正しく理解できていない。
   2.情報収集が下手。情報投資が下手。
   3.毎日の合格のためのトレーニングができていない。

1−8−1.新制度の要点

(1)国際的に通用する資格に舵を切る
2024年度技術士第二次試験は前新制度施行の12回目です。文科省は技術士が国際的に通用する資格となるように舵を切ったのです。この方針に基づき、技術士二次試験の作問や審査が実施されます。
これまでの歴史は1−1〜1−5で詳述しました。

1−8−2.資質能力(コンピテンシー)評価の実態

平成25年度より、技術士資格の国際的通用性を確保する観点から、国際エンジニアリング連合(IEA)の「専門として身に着けるべき知識・能力」(PC:Professional Competencies)を踏まえ、「技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)が策定されました。そして、コンピテンシーの視点からの審査に移行されました。
この中で一番重要なのがコミュニケーション能力です。
下表の「試験科目別確認項目表」をご覧下さい。

表 試験科目別確認項目
図
●コミュニケーション能力とは
  • 技術士業務の履行に当たり、共に働く者、雇用者、依頼者又は公衆との間で明確かつ効果的な意思疎通(コミュニケーション)を行う能力が求められます。
  • コミュニケーションの主な内容は下記のとおりです。
    1. 論文報告書設計書等文章作成説明又は発表
    2. 業務に関する報告又は指示口頭又は文書による授受
    3. 情報意見交換討議
  • 海外関係の業務に携わるためには、一定水準の語学(多くの場合英語)力必要です。
a.コミュニケーションの留意点はインフォームドコンセント
  • 病院などの医療機関で、手術や特殊な検査・治療を受ける際、医師から詳しい病状、治療方法の選択肢とリスクの説明を受け、内容を理解・同意した上で、医療行為を受けた経験があると思います。これをインフォームドコンセント(Informed Consent)、十分な情報を得た上での合意と言います。合意するか否かは、もちろん本人の自由です。重要なのは、必要な説明を聞き十分に納得した上で、自分で判断する説明責任を受け入れることです。
  1. 説明の内容としては、対象となる行為の名称・内容・期待されている結果のみではなく、代替治療、副作用や成功率、費用、予後までも含んだ正確な情報を与えることが望まれます。
  2. また、患者・被験者側も納得するまで質問や説明も求めます。これは医療倫理から派生した概念であり、患者の権利の一つともされています。
b.コミュニケーションは知る権利に対する説明責任
  • 技術者のコミュニケーションインフォームドコンセントが必要です。製品・サービスの提供を受ける消費者は、知る権利に対する意識を高めつつあります。しかし多くの場合、消費者は技術者が開発した製品の安全性を特に疑うことなく購入し、使用しています。これらの製品に欠陥があり、自分に損害をもたらす可能性があっても、消費者にはそれを予見する知識、また防ぐ知識や技能もありません。
  1. 消費者は技術者に、製品の安全の全てを委ねています。従って技術者には、自分たちが提供する製品によって事故が起きないように設計・製造する専門責任生みの親としての責任:本質安全)あります。
  2. 技術者は製造工程において作業者社会環境に悪影響を与える有害物質を輩出していないかという製造工程管理責任環境倫理学)、事故などがあった時に、製造工程や事故の過程を正しく社会に説明する責任もあります。
  • 消費者の誤った使い方によって事故が起こる可能性があるならば、企業は事前に消費者にきちんと説明原理を分かりやすく説明する責任)しなければなりません。
  1. 以前は電化製品が故障して修理を依頼すると、しばらくして「基板が破損していたので、取り替えておきました」と、説明がなく、後から一方的に報告され、修理代を請求される流れが一般的でした。これがパターナリズムで、「消費者の知る権利」は無視されていました。
  2. インフォームドコンセントでは、修理に出すと、「故障原因は、○○が破損している可能性があります。破損部分だけを修理する、○○部分ごと取り替える、新しい製品に買い替える、3つの方法があります。それぞれいくらかかります。どうしますか?」といった説明の連絡が来ます。これがインフォームドコンセントの「知る権利と説明責任」です。
  3. 技術者のコミュニケーションとは、「知る権利に対する説明責任」では、充分にお客様に対し情報と選択肢を示し、最終的には消費者側が判断できるという技術者のインフォームドコンセントの権利と責務が原則となっています。
  4. 現在の技術者に求められるコミュニケーション能力では、消費者は製品・サービスの特徴や安全性、故障原因、対策方法などを「知る権利」を有しているとしています。これに呼応して、技術者は消費者の「知る権利」に対して、充分納得してもらえるまで「説明する責任」を負っていることになります。
  5. この消費者の「知る権利」と、技術者の「説明する責任」が互いに補完することによって、社会や人々の安全・安心が築かれているのが、技術者のコミュニケーション能力です。「人々(消費者)を守る義務の必要性」を言います。

1−8−3.情報収集、情報投資の上手なやり方

技術士情報は、当社HPや技術士ホットニュースの他、日本技術士会HPや、文部科学省技術士分科会HP、JABEEのHP等から収集して下さい。またその他にも各種白書の情報を確認することが重要です。科学技術・イノベーション白書、国土交通白書、ものづくり白書、環境白書、中小企業白書等を部門に応じてチェックしておいて下さい。
ちなみに、科学技術・イノベーション白書のこの4年間のテーマは、平成30年度は、「科学技術イノベーションの基盤的な力の更なる強化に向けて」、令和元年度が「基礎研究による知の蓄積と展開―我が国の研究力向上を目指して―」、令和2年度が「科学技術が広げる未来社会の可能性と選択肢」、令和3年度は「Society 5.0の実現にむけて」、令和4年度は「我が国の研究力〜科学技術立国の実現〜」、令和5年度は「地域から始まる科学技術・イノベーション」となっています。このテーマの中からたくさんの技術士問題が作成されています。
よくガイダンスの受講者の方々から、「どのような講座や参考書を読めばいいのでしょうか」というご質問を受けます。
我々が50年以上の講座開催の経験にてらして、データ的に言えることは、合格者の方の情報投資額が30万〜40万円の方が多いということです。これを、現在の講座、参考書にあてはめてみますと、建設部門で「合格一直線コース188,000円、「口頭試験完全合格直前対策講座2日間コース84,000円、特別指導講座「キーワード集・論文作成講座35,000円、参考書「建設部門解答事例集3年分 15,000円、「筆記試験合格者による「成績A」復元解答集 下巻5,000円、「らくらくできる構造的コンピテンシー表現法3,000円、「実務経験証明書・口頭試問ペア実例集5,000円、この合計が335,000円です。これで合格します。皆様の受験部門に合わせて組み合わせをお考え下さい。(できるだけ早い時期に決定することが合格の秘訣です。)

1−8−4.毎日のトレーニング時間が最低どのくらい必要か

合格者は毎日、会社への行き帰り、昼休み時間、帰宅後の就寝までの間、2時間〜3時間を受験対策にかけています。
休日は、図書館等の活用しながら5時間程度受験勉強をするのが標準です。ボイスレコーダや縮小コピーを活用し繰り返しキーワードを覚え、手書きの論文作成を行います。作成論文は100論文以上になると思います。そして家族の方々に、この試験の重要な意味を知ってもらい、合格の喜びを分かち合うことができるよう頑張って下さい。


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