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2023.10【特集記事】

筆記試験よりもハード!
技術士第二次試験口頭試験対策の重要ポイント


 

1.技術士第二次試験口頭試験の概要

技術士資格は、第二次試験の筆記試験合格後、その年度の口頭試験を受験し、合格することによって、その資格を得ることができます。
口頭試験で不合格になると、また来年度は筆記試験の受験からはじめなければなりません。
口頭試験は、難関である筆記試験を合格したレベルの高い受験者を対象に、試験官が口頭面接により試験会場で直接ジャッジする、最後の関門です。試験でのプレッシャーも、筆記試験の比ではありません。入念な受験準備・対策を行わなければ、確実に不合格になってしまいます。
特に、総合技術監理部門を除く20の技術部門では、令和元年度の試験改正から、その試験内容が大きく変わりました。
ここでは、口頭試験の概要とその対策をお伝えします。

(1)技術士第二次試験実施大綱での位置づけと合格基準
以下、「技術士第二次試験実施大綱」と「技術士試験合否決定基準」から、口頭試験の内容と口頭試験の合否決定基準についてお伝えします。

【口頭試験】
  1. 口頭試験は、筆記試験の合格者に対してのみ行う。
  2. 口頭試験は、技術士としての適格性を判定することに主眼をおき、筆記試験における記述式問題の答案及び業務経歴を踏まえ実施するものとし、筆記試験の繰り返しにならないよう留意する。
  3. 試問事項及び試問時間は、次のとおりとする。なお、試問時間を10分程度延長することを可能とするなど受験者の能力を十分確認できるよう留意する。
    (総合技術監理部門を除く技術部門)
    表

    (総合技術監理部門)
    表
※選択科目に関する口頭試験は、総合技術監理部門以外の技術部門の口頭試験にて別途行うこととする。また、選択科目が免除される者は必須科目のみの試問とする。

配点 口頭試験

(総合技術監理部門を除く技術部門)
試問事項別の配点は次のとおりとする。
Ⅰ 技術士としての実務能力
  1. コミュニケーション、リーダーシップ   30点満点
  2. 評価、マネジメント           30点満点
Ⅱ 技術士としての適格性
  1. 技術者倫理               20点満点
  2. 継続研さん               20点満点
(総合技術監理部門)
試問事項別の配点は次のとおりとする。
Ⅰ(必須科目に対応)
 Ⅰ 総合技術監理部門の必須科目に関する技術士として必要な専門知識及び応用能力
  1. 経歴及び応用能力            60点満点
  2. 体系的専門知識             40点満点
(編集注:総合技術監理部門の選択科目は、他の20部門と同じなのでここでは省略します)

技術士試験の合否決定基準は、次のとおりとする。

【口頭試験】
表
(編集注:総合技術監理部門の選択科目は、他の20部門と同じなのでここでは省略します。
なお、併願受験者は、選択科目である20部門の口頭試験で不合格となると、総合技術監理部門の口頭試験も、その評価に関わらず不合格になります)

(2)口頭試験での試問内容について
総合技術監理部門を除く技術部門(以下「20部門」と記します)では、前述の「配点 口頭試験」で示された「技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)」に基づき、試問します。
すなわち、以下です。
  • Ⅰ 技術士としての実務能力:①コミュニケーション、リーダーシップ、②評価、マネジメント
  • Ⅱ 技術士としての適格性:③技術者倫理、④継続研さん
これら①〜④のコンピテンシーが、1つでも60%に達していないと技術士の資質能力に欠けているとみなされ、口頭試験は不合格になります。この「コンピテンシーによる試問」が、令和元年度の試験改正により口頭試験が大きく変わった点です
以下、口頭試験の試問事項に該当するコンピテンシーの内容を記します。

 コミュニケーション 
  • 業務履行上、口頭や文書等の方法を通じて、雇用者、上司や同僚、クライアントやユーザー等多様な関係者との間で、明確かつ効果的な意思疎通を行うこと。
  • 海外における業務に携わる際は、一定の語学力による業務上必要な意思疎通に加え、現地の社会的文化的多様性を理解し関係者との間で可能な限り協調すること。
 リーダーシップ 
  • 業務遂行にあたり、明確なデザインと現場感覚を持ち、多様な関係者の利害等を調整し取りまとめることに努めること。
  • 海外における業務に携わる際は、多様な価値観や能力を有する現地関係者とともに、プロジェクト等の事業や業務の遂行に努めること。
 評価 
  • 業務遂行上の各段階における結果、最終的に得られる成果やその波及効果を評価し、次段階や別の業務の改善に資すること。
 マネジメント 
  • 業務の計画・実行・検証・是正(変更)等の過程において、品質、コスト、納期及び生産性とリスク対応に関する要求事項、又は成果物(製品、システム、施設、プロジェクト、サービス等)に係る要求事項の特性(必要性、機能性、技術的実現性、安全性、経済性等)を満たすことを目的として、人員・設備・金銭・情報等の資源を配分すること。
 技術者倫理 
  • 業務遂行にあたり、公衆の安全、健康及び福利を最優先に考慮したうえで、社会、文化及び環境に対する影響を予見し、地球環境の保全等、次世代にわたる社会の持続性の確保に努め、技術士としての使命、社会的地位及び職責を自覚し、倫理的に行動すること。
  • 業務履行上、関係法令等の制度が求めている事項を遵守すること。
  • 業務履行上行う決定に際して、自らの業務及び責任の範囲を明確にし、これらの責任を負うこと。
 継続研さん 
  • 業務履行上必要な知見を深め、技術を修得し資質向上を図るように、十分な継続研さん(CPD)を行うこと。

「技術士としての実務能力」は、主に、試験申請に提出した受験申込書の「実務経験証明書」に記載した業務内容や「業務内容の詳細」から試問されます。このため、「技術士試験は受験申込書から始まっている」と言われております。口頭試験を意識せずに「実務経験証明書」を記入した方は、その内容をよく見直し、対応策を十分検討して取り組まなければなりません。
「技術者倫理」、「継続研さん」は、試験改正前からも試問されていることですが、最近では試問内容が変化してきており、即答しにくいような質問がされておりますので注意が必要です。
総合技術監理部門は、20部門の試問内容とは全く異なり、「総合技術監理」に関連した高度な試問がなされます。20部門で合格したからといって、全く油断はできません。総合技術監理に即した、十分な受験対策が必要です。
また、「試験実施大綱」に「筆記試験における記述式問題の答案及び業務経歴を踏まえ実施する」とあるように、筆記試験の答案について試問されることがあります。これは20部門、総合技術監理部門いずれもそうであり、試問されない例も多いですが、大綱に明示されていますので、たとえ成績がA評価であっても、筆記試験での復元答案を再チェックする必要があります(このことからも、筆記試験実施後は、すぐに答案を復元しておくことが大変重要です)。
以下、口頭試験でよくされる試問の例を挙げます。
  • 受験申込書に記した「業務内容の詳細」について、3分程度で説明してください。
  • コミュニケーションを発揮した事例を説明してください。
  • コミュニケーションをどのようにとって合意形成を図りましたか。
  • リーダーシップ上で苦労した点は何ですか。
  • 利害調整ではまず何を一番優先しますか。
  • 「業務内容の詳細」の評価を説明してください。
  • 限られた経営資源(人員、コスト)の中で、どのように業務を遂行しましたか。
  • 日頃より重視している技術者倫理を具体的に説明してください。
  • 現在のCPDの内容を具体的に説明してください。
  • リスクマネジメントを実施した、とありますが、その内容を具体的に教えてください。(総合技術監理部門の例)
(3)口頭試験合格のための2つの重要ツール
新技術開発センターでは、口頭試験対策として以下の2つをお勧めします。
  1. 書籍:技術士第二次試験実務経験証明書・口頭試問ペア実例集
  2. セミナー:技術士第二次試験 口頭試験完全合格直前対策講座
(1)の書籍は、試験改正の令和元年度から昨年の4年度まで、口頭試験受験者からの提供による事例をまとめた貴重な書籍です。総合技術監理部門を含めた多くの部門の「実務経験証明書」と「口頭試問」の事例がペアで掲載されております。部門に関係なく試問されている質問事項やその回答、さらに「今後受験される方へのアドバイス」も掲載しておりますので、受験部門に関係なく、全ての事例が参考になります。20部門合格後に、総合技術監理部門をチャレンジする際も、受験申込書の書き方や口頭試験対策の参考にもなりますので、口頭試験合格後も必携の書籍です。
今すぐ、口頭試験対策にとりかかるには、うってつけのツールです。
(2)のセミナーは、口頭試験シミュレーション公開講座」と「口頭試験マンツーマン指導の2つのセミナーがあります。
口頭試験シミュレーション公開講座」は、午前中は口頭試験の概要と受験対策の重要ポイントの講義、午後は受講者の中から数名の方に口頭模試を行い、他の方はその模試の様子を聴講するものです。模試受験者、それを見つめる受講者の双方ともに参考になるセミナーです。全部門共通で行う集合研修式セミナーですが、特に東京・大阪会場では、総合技術監理部門は別室で独自の指導を行いますので、同部門の受験者にはお勧めです。
口頭試験マンツーマン指導」は、受験者の受験部門と同部門の技術士講師が、模擬試験を踏まえた実戦的な指導をマンツーマンで行います。
この2つをセットにした「2日間コース」がお勧めですが、それぞれ単独でも受講できます。
また、受講者に大好評なのが、実施されたばかりの口頭試験の受験者のアンケート回答を元にして、当年度の口頭試験の状況をお伝えする「口頭試験速報」です。
最後に、昨年2022年度の「口頭試験完全合格直前対策講座」を受講した方々のアンケートから、セミナーのご感想を紹介いたします。全員、口頭試験に見事合格された方々です。
皆様もこれらの先輩方に続き、新技術開発センターの口頭試験セミナーで技術士への道を開いてください!

口頭試験シミュレーション公開講座
  • 他人の受け答えを見聞することができ、イメージトレーニングができた。
  • テキストが充実しており、読むだけで口頭試験の答え方について理解できた。
  • 他の受験生の回答事例も聞くことができ、回答の仕方の参考になった。いろんなパターンの質問があり、参考になりました。
  • 面接の大まかな流れを教えていただきました。受講者の方々が実際の模擬面接をしてただき、準備のできている方や、少し慌ててしまった方など、実際にシミュレーションをしていただいたのでイメージがわきました。実際の面接も、順番を変えたり、プレゼンを省いたりしていましたが、大まかな流れは教えていただいた通りの流れでした。
  • コンピテンシーの意味を理解できました。また、技術士法や技術士倫理綱領の抜粋テキストも何回も見返しました。公開口頭試験は、緊張感が伝わり、良い刺激になりました。
  • 緊張する、喋りすぎるという自分もやってしまう間違いを他の受講生の方が指摘を受けていたのはとても参考になった。
  • 口頭試験対策として非常に役立った。(講座を受けてなかったら…考えたくもありません)
口頭試験マンツーマン個別指導講座
  • 自分の苦手とするコンピテンシーについて、アドバイスなどをいただけた。
  • 口頭試験の雰囲気に慣れることができた。また、自分の癖や特徴、その対策を明確にできた。
  • 模擬面接の内容が濃く、指摘事項が明確でその後の準備にとても役立ちました。
  • ほとんど口頭試験の準備をしない状況で講座を受講して、このままじゃまずいと気づかせていただけた。千本ノックのような質問攻めを体験したお陰で、本番が簡単に感じた。
  • 模擬面接後の講評で、良い回答と悪い回答を分かりやすく説明を受けました。どういう風に回答すれば、試験官から評価を受けるのか、受けないのかが理解できましたので、その後の準備が不安なくスムーズにできました。
  • 模擬面接で、簡潔に答えるのが難しいことを早々に実感し、本番に向けて対策が取れた。リーダーシップに関する想定問答がうまくできず、何度も先生に修正いただいたことが本番で活かせた。
  • とにかく、講師の先生が素晴らしかったです。人として尊敬でき、私もこのような技術士になりたいとモチベーション向上につながりました。受験部門に特化したアドバイスも大変助かりました。


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