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2018.11【特集記事】

攻略! 2019年新技術士試験
〜技術士試験はこう変わる!〜


第3章 技術士試験合格の秘訣
     ――あなたは何故合格できないのか!――

田淵 一光  
新技術開発センター技術士対策講座幹事講師  
建設部門、総合技術監理部門、コンクリート診断士
  
 
      あなたの合格できない理由は下記の3項目です。
      これをクリアできると合格します。
   1.技術士試験の背景と目的が正しく理解できていない。
   2.情報収集が下手。情報投資が下手。
   3.毎日の合格のためのトレーニングができていない。

1 新制度の要点

(1)国際的に通用する資格に舵を切る
2019年度技術士第二次試験は前新制度施行の7回目です。文科省は7年前より、技術士が国際的に通用する資格となるように舵を切ったのです。この方針に基づき、技術士二次試験の作問や審査が実施されます。

その基本となったのが、図1.1に示す国際エンジニアリング連合(IEA(Intemational Engineering Alliance))の提唱する技術者の資質能力(コンピシテンシー)です。(参考)2019年度から筆記試験の評価に使われます。
図
図1.1 IEAが求める技術者の資質能力(コンピテンシー)

特に、大枠内に示した項目は、従来の技術士規定にない事項です。日本の技術士はこれが欠如しているため、国際的に通用しないのです。IEAの資質能力を踏まえて図1.2のように技術士の資質能力を明確にしています。今後の試験は、図1.2の視点で実施されます

図
  • 複数に関連する広い専門領域と知識をもって、産業界の要請に応えることができる
  • リスクマネジメント、リーダーシップ、コミュニケーション、評価能力などがある
  • 技術者倫理の励行:公衆の安全、健康及び福祉を最優先に考慮した上で、社会、文化、環境に対する影響を予見し、地球環境の保全等、次世代に渡る社会の持続性の確保に努める
図1.2 技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)

(2)技術士二次試験のコンピテンシーの重要性
以下の技術士制度改革の提言をご確認下さい。
コンピテンシーの内容と評価項目が重要。

平成30年7月の日本技術士会が公表した「技術士制度改革について(提言)(中間報告その2)」の中で、

『 技術士の国際通用性について
  1. 基本認識
    技術士の国際資格としては、APECエンジニアと国際プロフェッショナルエンジニ(IntPE)がある。平成30年6月時点での我が国の技術士の登録件数はAPECエンジニアが999件、IPEA国際エンジニアが286件であるが、5年毎の更新の度に約半数が更新しないことから全体として減少傾向にある。
    最近の国際プロジェクトにおける技術士及びAPECエンジニアの活用状況の調査を行ったが、ODAの調査関係で実績が僅かあったのみである。技術士に対するヒアリングでも同様の声が多く、国際的な活用が進んでいるとはいいがたい状況である。この状況を打開するための施策としては、(1) 技術士資格の国際通用性の向上を図る、(2) 官民一体となっての活用促進が挙げられる。

    (1)技術士資格の国際通用性の向上
    技術者の国際流動性を高めるには、客観的な指標による技術者の資質能力の把握が不可欠である。このため、IEAでは、技術者のカテゴリー(professional engineer、technologist、technician)別に、教育基準(GA:graduate attribute)と能力基準(PC:professional competence)を定め、エンジニアの国際的相互認証枠組みであるAPECEA(APECエンジニア協定)及びIPEA(国際プロフェッショナルエンジニア(IntPE)協定)では、2013年以降、GA及びPCによりエンジニアの審査登録を行うこととしている。さらにIEAは、各国のエンジニア資格自体がPCに準拠していることがより合理的であるとし、自国のエンジニア資格がPCに準拠していれば、国内資格をもって、APECエンジニア及びIntPEの審査に代え得るとする協定改正が2018年6月のロンドン総会の議案として上程された。総会では、申請者個人単位でIEAのPCに合致しているか否かを審査する従来の方法に加え、各国のエンジニア資格自体がPCに準拠していれば、自国のエンジニア資格をもって、APECエンジニア及びIntPEの審査に代え得るとする方法も採択した。今回提示された協定案では「グループ1、グループ2」あるいは、「カテゴリー1、カテゴリー2」といった区分の表現はなされていないが、協定の具体的な表現方法については各国のコメントを更に募ることとされた。また、各国のエンジニア資格がPCに合致するか否かのレビュー方法については、ワーキンググループを編成して検討することとなった。
    日本はこれら2協定の加盟国として、APECエンジニア及びIntPEの審査登録を行ってきているが、技術士第二次試験では、PCのうち、課題解決力(平成24年度以前の試験)、マネジメント力、評価力の評価方法を厳格に定めていなかったため、APECエンジニア及びIntPEの登録申請時にこれら3つの能力を含めた業績レポートを提出してもらい、PCの審査を行っている。こうした状況に対処するため、「技術士分科会」はIEAのPCに準拠した技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)を新たに策定し、平成31年度からは、コンピテンシーの評価を基本に技術士試験を実施することになっている。

    (2)活用促進策
    現在、APECエンジニアを技術士又はCPE(Chartered Professional Engineer)として登録出来る相互認証協定をオーストラリアとの間で結んでいるが、活用実績は乏しい。APECエンジニアの活用には、相手国内でのAPECエンジニアの認知度を上げる必要があり、その関係での二国間協力の推進は今後の課題の一つと考えられる。TPP協定案の中に、エンジニアリングサービスに関する規制緩和が盛り込まれており、今後どう展開されるか注視していきたい。
    また、文科省技術士分科会の下に国際的通用性検討作業部会が設置されており、国際通用性を確保したうえで、技術士が海外で活躍できるよう制度の検討が進められている。

  2. 今後の課題
    技術士第二次試験については、平成31年度よりコンピテンシーの評価を行う形で試験が行われることになり、形式上はIEAのPCに準拠することになるが、課題解決力、マネジメント力、評価力のような経験で培われる能力が筆記試験でどこまで評価できるかについては不明な点もある。したがって、筆記試験方式を基本としながらも、マレーシア、シンガポールのように、実績評価と口頭試験をより充実させる必要があると考えられる。
    更新制度については、日本のみが採用していないという現状を見れば、国際通用性確保の観点からも導入は必須と考えられる。また、導入と合わせて、各国で実施されているように技術士の更新者名簿(仮称)の公開を行う必要もある。
    IEA総会で議論された「各国のエンジニアリング資格とPCの関係によるAPECエンジニア及びIntPEの審査方法の代替案(例えば、技術士を持っていればIEAのPCを満たしていると見なすような方式)」については、引き続きIEA及び各国の動向を注視していく必要がある。これに関連して、今後技術士第二次試験の改訂において、IEAのPCの一定の導入にも期待したい。
    TPP協定で国境を超えるエンジニアサービスに関する規制緩和が規定される中(TPP協定書 第10章 附属書10-A 自由貿易サービス)、海外での技術士の活用という観点だけではなく、海外のエンジニアの受け入れという点でも、技術士の国際通用性についての議論を展開していく必要がある。前述のように文部科学省に国際的通用性検討作業部会が設置され、資格活用のための課題と方向性を検討中である。本会としてもこの作業部会に参画して積極的に発信するとともに、資格活用が進むよう更に検討を行っていく。』
と明記され、コンピテンシーの重大性が強調されていることを忘れてはなりません。

技術士情報は、当社HPや技術士ホットニュースの他、日本技術士会HP、文部科学省技術士分科会HP、JABEEのHP等から収集して下さい。そして毎日のトレーニングを忘れずに!

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